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戦後横浜野毛界隈 nogelog

大正生まれが野毛界隈を語る。

闇市の鉄火場つぶし 

 署長は、闇市の鉄火場の手入れを命じた。その鉄火場は、人足相手の屋台店がひしめく、人足寄せ場のような町にあったので、客は人足ばかりだった。見張りは表と裏にいた。指揮者の巡査部長は、この手入れの要員に柔道選手を選抜した。集合は隣接署の空交番だ。指揮者は、見張りを投げ飛ばして突入するイ号作戦と、見張りをおびき出して突入するロ号作戦の二つを示し、どちらにするかは現場の状況で決定して指示すると言った。二人、三人と分散して私服巡回をよそおって静かに鉄火場の表と裏を包囲した。表に長身の見張りが一人立っている。指揮者はイ号作戦を決意し、Y選手に見張りを一瞬にして倒すことを命じた。Yは見張りに近付いた。見張りが「ご苦労さんです」と言った途端、必殺の大外刈りが飛んだ。見張りは声も出さず仰向けに倒れた。間髪を入れず先行隊が突入し、続いて竹さん達が突入した。不意を突かれた賭博中の人足どもは慌てて逃げ出したが、柔道選手ばかりの包囲網は破れず、全員投げ飛ばされて逮捕された。町の人びとは、恐ろしく柔道の強いお巡りさんばかりだったと、驚嘆の噂をした。だが、この鉄火場の客人は人足ばかりで、しぶとくつぶれず、本部警備隊の絶え間ない手入れによって、ようやくつぶれた。
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