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戦後横浜野毛界隈 nogelog

大正生まれが野毛界隈を語る。

なめられた交番

竹さん

 当時の交番には、自転車が一台しかなかった。だが、町の人びとは交番を我が町の交番と考えていたので、町内会から交番名を付けた新品の自転車二台が贈られた。ところがあるとき、その自転車を盗まれてしまった。方面担当の巡査部長に報告したところ、「どの面下げて署長に報告できるか、今日中に捕まえろ。」とカンカンである。竹さんは同僚一名と盗品買い専門の古物屋に行き、そっと物置をのぞいてみた。なんと、交番名の付いた自転車二台が並べて置いてある。竹さん達は、「親父どんな顔をするかな?」と話ながら表にまわり、店の親父に「交番の自転車が盗まれたので売りに来たら知らせてくれよな」と言ったところ、ハイハイと二つ返事で了解した。竹さんは、「この狸親父メ」と思いながら、「ちょっと物置見せてくれよ」と言い、シブる親父に物置の戸を開けさせて盗まれた自転車を確認させてから、「親父あるじゃないか、売りに来た奴を教えるまでは毎日張り込むぞッ!」と一喝したら、親父は渋しぶと泥棒の名前を教えたので、その泥棒を捕まえて取調べたところ、先に一台売りに行ったとき、もう一台あるはずだから、もってこいと言われたと白状した。それにしても交番の自転車を盗まれるとは「なめられた」ものだと複雑な思いで巡査部長に報告すると、「今後気をつけろ」と怒鳴られてしまった。
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