戦後横浜野毛界隈 nogelog

大正生まれが野毛界隈を語る。

交番のパンツ論争

 「お巡りさんは町の裁判官」と言われ、夫婦喧嘩やら犬がうるさいなど日常生活のモメごとは、なんでも交番に持ち込まれる。ある日、巡回から帰った二十歳の巡査が、爺さん婆さんの夫婦喧嘩の仲裁をしてきたが、その原因が馬鹿ばかしいので嫌になったというのだ。「いったい、なんなんだ、それは」と聞いたところ、「まあ聞いてくれよ」と話しだした。巡回中に怒鳴り声が聞こえたので、どうしたのかと、その家に入ると、爺さんが「お巡りさん聞いてくださいよ、うちの婆さんは夜寝るときパンツを履いて寝るんですよ、そんなのありますか」と言い、婆さんは「何言ってんのよ、私だって冷えるからパンツくらい履きますよ」というのが原因だったとのことだ。同勤者一同は、笑いながら「それでお前どうしたんだ」と聞くと、二十歳の巡査は「爺さん、今は時代が変わったんだ。今の女は腰巻なんかしてないよ。みんなパンツ履いて寝るよ、爺さんが悪い。婆さん叩いたりすると暴行罪でショッ引くぞッ!」と一喝して納めてきたとのことだ。それから交番で「夫婦は寝るとき、妻はパンツを脱いで寝るのが常識か」という論争がしばらく続いたが、愚かな論争にたまりかねた交番長に「うるさいぞッ!いいかげんにしろッ!脱がせる楽しみもあるだろうがッ!」と一喝されて、ようやく納まった。

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