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戦後横浜野毛界隈 nogelog

大正生まれが野毛界隈を語る。

とんまなてがら

竹さん

 竹さん達は泥棒を捕まえるのに夢中だった。このころの竹さんは、出勤前に朝早く自主警らをしていた。ある早朝、いつものように出勤前の警らをしていると、一人の男が古着屋の前で立ち止まった。竹さんは、何かすると直感してゴミ箱の陰に隠れて見ていると、その男は着ていた古ぼけた上着を脱いだ。その下はモーニングコートを着ている。それから男はつぎつぎと脱いでいき、なんと十二枚も着ていた。そして、またもとの古着を着た男は、脱いだ衣類をまとめて古着屋の戸をたたくと、戸が開いた。男は店の中に入った。しばらくして男が出てきた。ノロマな竹さんは、地理的状況からみて必ず交番の前を通ると考えて、そっと後をつけた。案の定、交番の前に近付いた。チャンス到来、「もし」と声をかけて交番に連れ込んだ。一筋縄にはいかないと思ったが、以外にも男は泥棒の事実を素直に白状した。ところが、これは予定の行動だったことがわかった。男は刑務所を出た日に三崎町の老夫婦の家に三人組で押込み、老夫婦を殺して金を奪い、捜査の裏をかき大胆にも逃げ場所を刑務所と決め、その日に東京で衣類を盗み、わざと捕まりやすい交番の近くの古着屋に売り、運よく?竹さんに捕まり、計画どおりまんまと刑務所に逃げ込んだのだ。一生懸命働いて殺人犯の計画を助けた?竹さんの手柄は、ただの泥棒検挙だった。 

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