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戦後横浜野毛界隈 nogelog

大正生まれが野毛界隈を語る。

弱気の失敗

 新米巡査は、どこか間抜けな顔をしているのか、デンスケという街頭博打をしている極道も新米巡査が通りかかっても馬鹿にして止めようとしなかった。竹さん達四人の新米巡査は、デンスケを捕まえて交番に連れて行く途中、うしろから「やい、てめェら、なんでデンスケつかめェるんだ。」と怒鳴りながら追いかけてくる四人の大男が見えた。一人は鯉の入墨、一人は桜散らしの入墨、一人は背中いっぱいに花札を散らした入墨、一人は天女の入墨と、一目見て兄ィ分の極道だ。大変な剣幕で「こいつらをけェせ。」というとともに、づかづかと竹さん達のそばにきて、捕まえたデンスケ賭博師を連れて行ってしまった。竹さん達はアッケにとられていたが、気を取り直して交番に帰り、業界用語で「交番長」といわれていた古参巡査に恐る恐る報告した。「交番長」はカンカンになって怒り、先輩に「お前、行って連れてこい。」と命じた。先輩は、ハイと答えて一人で自転車に乗って飛んで行ったが、間もなく全員を連れてきた。竹さん達は先輩の度胸のよさに目を見張って驚いた。だが、それ以上に驚いたのは、倶利伽羅紋紋(いれずみ)の極道も、デンスケ賭博師も「交番長」の前で、ひらあやまりをしていることだった。これを見た竹さんは弱気の失敗を強く反省して、良民を守るために覚悟して強気になる決心をした。
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