戦後横浜野毛界隈 nogelog

大正生まれが野毛界隈を語る。

2014-08-30から1日間の記事一覧

ストリップ・ショウの取締り

敗戦後、わが国の性風俗は、アメリカ映画の輸入などで戦前の厳格さが消えて、なにもかもアメリカのマネをした。それは、映画界から始まったように思えた。その後、舞台に額縁を設置して、全裸の美女がその中に入り、ポーズをとってジッと立ち、あたかもヴィ…

台風と交番

テレビがなかった頃は、ラジオが最も早い情報源だ。台風が発生すると、その大きさと進行方向、風速などはラジオで次つぎと報じられる。その頃は、ラジオのない家もあるので、ラジオのある家は近所隣の人びとに台風情報を伝えた。戦争中の空襲で家を失った人…

極道と交番

昔の極道は、良民をこまらせることはしなかった。親分の厳しいシツケにより、堅気の衆には手を出さなかった。竹さんの交番の管内には、当時関東一といわれていた大親分がいた。巡回連絡に行くと「交番の旦那方と対等に口を聞ける身分でない。」と言い。応対…

なめられた交番

当時の交番には、自転車が一台しかなかった。だが、町の人びとは交番を我が町の交番と考えていたので、町内会から交番名を付けた新品の自転車二台が贈られた。ところがあるとき、その自転車を盗まれてしまった。方面担当の巡査部長に報告したところ、「どの…

交番のパンツ論争

「お巡りさんは町の裁判官」と言われ、夫婦喧嘩やら犬がうるさいなど日常生活のモメごとは、なんでも交番に持ち込まれる。ある日、巡回から帰った二十歳の巡査が、爺さん婆さんの夫婦喧嘩の仲裁をしてきたが、その原因が馬鹿ばかしいので嫌になったというの…

怪我の功名

酔っ払いと病人の区別は困難だ。両方とも保護の対象だが、病人は病院に連れて行かなければならないのだ。竹さんは、物事を大げさに考える性格なので、結果的に大したことがないと必ず非難される。とくに看護婦さんはキツイ。「こんなの連れてきて馬鹿じゃな…

神をも恐れぬ泥棒

ある早朝、都橋交番に一人の男が駆け込んで来て、「泥棒が伊勢山皇大神宮本殿の銅葺き屋根をはがしている」と届け出た。伊勢山は管轄外だが、そんなことは言っていられない。竹さん達は猟犬のように交番を飛び出した。竹さんを含めて六名程の巡査が一斉に飛…